外陰部のできもの・痛みがある場合、早めにご相談ください
外陰部にできものや痛みなどがある場合には、何らかの病気が疑われます。
症状の程度が軽かったり、できものが小さくなったとしても、お早目に当院にご相談ください。
痛みがある場合
- 性交時の痛み、排尿時の痛み、運動後の痛み
- 何もしていないのに痛みがある
腫れがある場合
- 軽微な腫れから、ひどい腫れまで
- 腫れがだんだん悪化している
外陰部のできもの・痛みを
伴う病気
- 毛嚢炎・毛包炎
- バントリン腺のう胞・バントリン腺膿瘍
- 性器ヘルペス
毛嚢炎・毛包炎
毛穴の奥で毛根を包んでいる毛嚢(毛包)に起こる炎症です。
原因
黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌といった常在菌が、傷などをきっかけとして毛穴で炎症を起こします。
ムダ毛を剃ったり抜いたりした後に起こりやすくなります。
症状
- 毛穴の赤み、ブツブツ
- 腫れ
- 押したときの痛み
上記のような、ニキビに似た症状をきたします。
治療
軽度であれば自然に治ることも多く、経過を観察しながら自然治癒を待ちます。
痛みがある、多発している、範囲が広いといった場合には、抗生物質・軟膏を使用します。外科的な処置(切開・排膿)を行うこともあります。
バルトリン腺のう胞・バルトリン腺膿瘍
性交時の潤滑のために分泌液を出すのが「バルトリン腺」です。
このバルトリン腺の開口部が詰まり外陰部が腫れた状態を「バルトリン腺のう胞」、感染を起こし膿が貯留した状態を「バルトリン腺膿瘍」と呼びます。
原因
ブドウ球菌、大腸菌、連鎖球菌、淋菌などの感染によって起こります。
症状
- 膣の入口(内側下方)が部分的に球状に腫れる
- 痛み、熱感
- 押したときの痛み
腫れ・痛みが悪化し、歩行などの基本動作が難しくなることもあります。
治療
注射針で穿刺、排液・排膿。抗生物質の内服による治療を行います。
症状が強い・再発を繰り返す場合には、切開術・造袋術・摘出術が必要になることもあります。
性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルスを病原体とする性感染症で、外陰部・膣内・肛門周囲などに水ぶくれや潰瘍を発症します。
一度感染すると生涯にわたり感覚神経節に潜伏し、ストレスなどで免疫力が低下すると再び活性化し再発を繰り返します。再発例は初発例に比べて症状は軽いことが多いが、外陰部の他に肛門周囲・殿部(お尻)・大腿部(太もも)などにも発症することがあります。
再発する前に外陰部の違和感や大腿部から下肢にかけて神経痛様の疼痛などの前兆がみられることもあります。
原因
単純ヘルペスウイルス(HSV)1型または2型を病原体とする性感染症です。
主に1型は口唇ヘルペス、2型は性器ヘルペスの原因となりますが、オーラルセックスによって1型が性器ヘルペスを発症することもあります。
症状
- 外陰部、膣内、肛門周囲の水ぶくれや潰瘍
※外陰部には左右にできることが多い。 - 発熱、倦怠感
- 排尿時の痛み、違和感
- 脚の付け根のリンパ節の腫れ(有痛)
治療
抗ウイルス薬(軟膏・内服)による治療を行います。重症例では点滴による治療を行うこともあります。
治療により一時的に症状を鎮めることはできますが、現在のところ根治は期待できません。
※再発抑制療法:頻回に再発を繰り返す場合に毎日継続的(1年間)に服用します。