ミレーナとは
ミレーナ(IUS:レボノルゲストレル放出子宮内システム)とは、子宮内に挿入して高い避妊効果を得る器具のことを指します。一般に「避妊リング」と呼ばれています。
3センチほどの大きさでT字型をしており、本体はやわらかいプラスチックでできています。緊急避妊薬の成分でもあるレボノルゲストレルが付加されており、この成分が子宮内で持続的に放出されることで避妊効果が得られます。
また、ミレーナは本来避妊を目的として開発されたものですが、生理痛や月経量が多いといった症状の改善にも有効であり、月経困難症・過多月経の治療において健康保険が適用されます。
未産婦には第一選択の避妊法としないことが原則です。痛みのため挿入が困難な可能性があります。
※未産婦の方でご希望される場合は一度御相談下さい。
ミレーナ挿入に適している方
- 経腟分娩の経験がある方
- コンドームの使用、ピルの服用が煩わしいという方
- ピルだと飲み忘れが心配だという方
- 40歳以上の方
- BMI30以上の方
- 高血圧の方、喫煙されている方
- 血栓症のリスクがあるという方
- 生理痛がひどい方
- 月経量が多い方
ミレーナとピルの違い
ミレーナとピル、どちらも優れた避妊法ですが、それぞれ以下のような特徴を持ちます。
なお避妊効果は、ミレーナの方がピルより高くなっています。
ミレーナ
- 子宮だけに薬が作用する
- 卵巣の働きは維持され排卵がある
- 喫煙、内服薬に関係なく使用できる
- 一度挿入すれば約5年間避妊効果が持続する
- 体調への影響が少ない(副作用が起こりにくい)
ピル
- 身体全体に薬が作用する
- 排卵がなくなる
- 喫煙の程度、内服薬によっては使用できないことがある
- 毎日服用する必要がある
- 血栓症のリスクがある
ミレーナの効果
※避妊目的の場合には自費診療となります。
避妊効果 | レボノルゲストレルが放出されることで子宮内膜が薄くなり、受精卵が着床しにくくなります。また、子宮入口の粘液が変性することで、子宮内に精子が入り込みにくくなります。 大きくこの2つの作用により、ピルよりも高い避妊効果が5年ほど持続します。またトータルで考えるとコストが抑えられます。 |
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月経困難症・ 過多月経の改善 |
子宮内膜が薄いまま維持することで月経量が少なくなり、月経困難症・過多月経といった症状の改善が期待できます。 |
ミレーナのメリット・デメリット
メリット
高い避妊効果
避妊方法の中で、もっとも高い避妊効果を誇ります。
1年以内に妊娠する確率は、コンドームが2%、低用量ピルが0.3%、ミレーナは0.2%になります。
手間が少なく、ミスが起こりにくい
一度挿入すれば、コンドームのように毎回装着したり、ピルのように毎日服用したりといった手間がありません。
また、コンドームにおける脱落や破損、ピルにおける飲み忘れといった、避妊の失敗につながるミスが起こりません。
月経困難症・過多月経の症状改善の効果が期待できる
レボノルゲストレルの放出に伴い子宮内膜が薄くなることで、月経困難症や過多月経の症状を改善する効果が期待できます。
長期にわたる効果が期待できる
ミレーナは挿入から約5年、その効果が持続します。
デメリット
5年以内に交換する必要がある
効果の持続期間は約5年です。5年を迎える前に、交換する必要があります。
副作用が起こることがある
挿入後2~3カ月は不正出血を認めることが多いですが、多くは徐々にその頻度や量が減少していきます。
自然脱出することがあります。とくに子宮筋腫を有する方に多い傾向があります。
腹痛、月経日数の延長、月経以外の出血、月経周期の変化といった副作用が起こることがあります。また、骨盤炎症性疾患(感染)、子宮外妊娠、ミレーナが子宮の壁に入り込むことによる子宮穿孔といった重大な副作用が起こる可能性もあります。
ミレーナ挿入の流れ
1.診察
医師による診察を行い、ミレーナの適応となるかどうかを判断します。
問診では、出産経験の有無、既往歴などをお尋ねします。また、内診・超音波検査を行います。
2.施術
月経の終了前後にミレーナを挿入します。
施術は数分で終わります。
なお、出産経験がない場合には、子宮頚管を拡張する前処置が必要になることがあります。
3.定期検診
1・3・6・12カ月後に定期検診のためのお越しいただきます。
その後は、1年ごとに定期検診を行い、5年を迎える前にミレーナを交換します。
ミレーナの注意事項
- クラミジア・淋病、梅毒、HIV感染症といった性感染症を予防する効果はありません。性感染症の予防のためには、コンドームを使用します。
- ミレーナ挿入直後、数日間は出血、腹痛、腰痛、おりものの変化などが見られることがあります。症状が強い場合、1週間以上続く場合には、当院にご連絡ください。
- 万が一妊娠した場合には、ミレーナを取り出す必要があります。妊娠の兆候がある場合、最後の月経から6週間を過ぎても次の月経が来ない場合には、すぐに当院にご相談ください。
- ミレーナの抜去時に牽引する糸が子宮口にあります。この糸は、絶対に引っ張らないようにしてください。ミレーナがズレたり脱落したりする原因になります。
- 月経が全くなくなってしまう場合もありますが、体の中の女性ホルモン分泌はしっかり保たれているので心配ありません。排卵もしています。
当院のミレーナの費用
避妊目的の場合には自費診療扱いとなりますが、月経困難症、過多月経の場合には保険適用となります。
ミレーナ | 費用 |
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挿入 | 50,000円(税込) |
抜去 | 10,000円(税込) |
・ミレーナ挿入後の定期検診(1・3・6・12カ月後):2,000円(税込)。
※他院で挿入されたミレーナを交換する場合も、抜去費用はいただいておりません。
・ミレーナ以外の子宮内避妊器具としてFD-1も取り扱っています。ミレーナと違って本体に薬剤(黄体ホルモン)を使用していないため月経困難症・過多月経の治療効果は期待できません。交換時期は2年~3年とミレーナより短くなっています。
挿入費用:30,000円(税込)、抜去費用:10,000円(税込)